色をなくした世界
「いつか一気に返してもらうよ」


本当の気持ちは閉じ込め、軽い口を叩く。



雄大の心を知らない雪乃はマジかーと笑っている。



「できるだけ返せるように頑張るよ」



お手柔らかにね?昔と変わらない笑顔で雪乃は雄大を見る。



雄大は雪乃の肩を叩くと仕事に戻るわと立ち上がる。



「今日はもう帰って良いってさっき青山さんが言ってたけど…一人で帰れる?」




他の者なら捻挫くらいでは帰してくれないが…雪乃は特別…やるせねーと雄大は呟くが、その呟きは幸運にも雪乃には聞こえていなかった。




時計を見れば19時になっていた。




「この時間ならアズがいるはずだから…アズに迎えきてもらうよ」




携帯を取り出せば、梓から何時に帰ってくる?とメールがきている。



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