色をなくした世界
「じゃあ安心だ。一人で帰すのはさすがにね?」


雪ちゃん余計転んで傷つくりそうだしと雄大が笑う。



言われるのは悔しいが、実際大学の頃同じように大丈夫と言い張り更に大怪我した為…言い返せない。




「鞄持ってくるから、ここで待ってなよ」



いつだって子ども扱いの雄大に頬を膨らませ返事をする。




「はぁーい」




雪乃が手を挙げ返事をするのを見て、雄大は部屋のドアに手をかけた時。



「雄大君…」



雪乃が呼び止めた。



何か他に持ってきてほしい物や伝言があったかな?と振り返れば、寂しそうな雪乃と目が合った。



「ありがとう」



雪乃が微笑む姿は雄大にはとても危ういように見え、一瞬だけ不安がよぎったが…気にするなよと部屋を出た。
< 35 / 203 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop