色をなくした世界
忘年会
雪乃が出版社に入り、早いもので半年以上が過ぎていた。


歓迎会は締め切り前という事であの後すぐ流れ、その後も何かと忙しく、結局歓迎会は忘年会と一緒にという事になった。


申し訳なさそうに謝る青山に「やって頂けるだけで嬉しいです」と伝えれば、にこにこ笑って頭を撫ぜてくれた。


その様子に一体私は何歳に見られているのだろうと・・・本気で悩んでしまった。


「雪ちゃん!!ここの配置考えてもらっても良い?」


最近では少しずつだが、仕事を任せてもらえるようになり、仕事のやりがいも感じ始めている。


「了解です。ここは前と同じで大丈夫ですか?」


雑誌を掘り出し尋ねれば、それで大丈夫だよ。と返事をもらう。



雪乃が席に戻りパソコンを見れば、社内お知らせがきていた。



『忘年会と人事異動のお知らせ


忘年会:2015年12月29日

場 所:菊野屋

時 間:19:00~


人事異動


春日谷一馬  カンボジア→本社』



いつも思うが・・・何とも簡潔なメールである。
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