色をなくした世界
雪乃は忘年会よりも気になる事があった。


今まで出張組の人とはたくさんあったが・・・春日谷一馬という人は聞いた事がない。


(こんな人いたんだ・・・どんな人なんだろう?)


興味がわいた雪乃は雄大に聞こうと隣の席を見るが・・・雄大は席にはいなかった。


いつも席にいる事の方が珍しい雄大である。またどこかに取材かな?と思い、雪乃は頼まれた仕事に取り掛かる。




その頃雄大は青山に呼ばれていた。


「メールは見たか?」


挨拶もなしに用件だけ聞かれる。


取材から帰って来たばかりの雄大はまだメールを見ていない為首を振れば・・・。


青山の溜息が聞こえてくる。


(俺悪くなくね?)


誰に言うでもなく、心の中で問いかけてしまう。


わざとらしくもう一度溜息をつくと、青山は雄大が聞きたくなかった名前を出した。



「春日谷一馬が帰ってくる」
< 37 / 203 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop