色をなくした世界
「雪乃・・・俺と付き合おう」


(・・・・一馬と付き合う・・・?)


一馬の言っている意味が分からなかった。


「確かに俺らは忘れられない人がいる・・・・だからこそ上手く付き合えると思う」


一馬の瞳は真剣だった。


「でも・・・何でいきなり・・・・」


一馬が雪乃を気に入っているとも思わなかったし、雪乃だって一馬の事をほとんど知らない。


「雪乃には忘れられない人がいる。俺にもいる。だったらお互い分かり合えるだろ?」


確かにと思ってしまいそうになり・・・自分を止める。


「だからって付き合わなくても良いでしょ・・・・」


友達でも良いじゃないかと言えば一馬は首を振る。


「一人でいたくない時ない?誰かに大丈夫って言って欲しい時はない?どうしても・・・会いたくなる時はない?」


愛した人に・・・・。


雪乃にも覚えがある。梓や雄大、他にも雪乃を心配して会いに来てくれる人はたくさんいたが・・・傷を分かち合える人はいなかった。


「でも・・・・」


断らなければと思えば思う程、一馬の策略にハマっていく気がする。


「じゃぁ・・・お試し期間で。試してみようよ」


何でこんなに食い下がるかと思うと雪乃は頭が痛くなってくる。
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