色をなくした世界
雪乃の匂いが少しだけ風に乗り、雄大に届く。


「熱が下がらないみたい。雪ちゃん来てくれたのは嬉しいけど・・・・うつっちゃうよ?」


真っ赤な顔の雄大が、自分の体の事より、雪乃の体の心配をしてくれる事が嬉しかった。


「大丈夫だよ。何か食べやすいもの作るから・・・キッチン借りても良いかな?」


雪乃は持ってきた食材を雄大に見せる。


「ありがとう。迷惑かけてごめんね」


そう告げると、雪乃を部屋へとあげてくれた。


「迷惑なんて・・・私が雄大君にかけてきたものに比べたら・・・」


少しだけ自嘲気味に笑ってしまうのは仕方ないだろ・・・・。


「だから恩返し・・・ね?」


雄大にとっては瞬殺ものの笑顔を見せる雪乃に、どうぞと荷物を持って案内してくれる。


雄大の部屋に来るのは、和哉が亡くなって以来初めてだったが・・・・あの頃とほとんど変わっていない部屋に笑えてくる。


「相変わらずほとんど何もない部屋だね」


周りを見渡せば、ソファーとベッド、パソコンくらいしかない。


テレビもないままだ。
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