彼は、理想の tall man~first season~
美紗ちゃんはどうする?
――と、今度は私にまでそう聞いてくれた。
特に先輩風も吹かさないし、世話焼き好きな雰囲気もあり。
場の空気を読む人だな――なんて、私は感心してしまった。
「今日は酎ハイにしようかな」
「じゃ、これかな」
「・・・・・・ありがと」
流石に尚輝と晃の前で、いきなり余所余所しい除外モードにもなれなかった私は、小声めにそう返した。
ちらちらとサッカー映るテレビ画面を気にしていた敦君は、一体何を飲むのか?
でも、「敦君は何飲む?」なんて――。
やっぱり2人が居る場で言うのが恥ずかしかった私は、遠慮がちに、敦君のシャツを軽く摘んでクイクイ引っ張った。
「ん?」と、向けられた視線。
テレビに釘付けの尚輝と晃は、私達の動きには気付いてない。
でも、やっぱり普段の声じゃ聞けない私は、「敦君は、何飲むの?」ダイニングテーブルに置いた品々に視線を合わせながら小声めに聞いた。
「ビールかな」
その答えを聞いて袋からビールを取り出して渡すと、「ありがと」と、私に合わせた感じで小声めに言って柔らかな笑みをくれた。