償いノ真夏─Lost Child─
真郷はまだ十三になったばかりの少年だが、どこか達観しており、周囲から浮いたところがある。
東京を出る前日、髪の色を抜いて金色にしたのは、母に対する細やかな反抗。
異端視されるのは慣れている。慣れていないのは、母の方だ。
「ねぇ、真郷。髪の毛、ちゃんと戻しましょう?」
「──何で?」
「だってあなた……そんなことしていたら、友達だって出来ないわよ」
「じゃあ出来なくていいよ。──母さんが心配してるのは、自分の評判だろ?」
吐き捨てるように言うと、母はひどく困惑したような表情で真郷を見た。
「どうして、そんなことを言うの?」
「俺、母さんだけの子供じゃないんだよ。父さんの子供でもあるんだ」
「真郷……」
それ以上の言葉はなかった。真郷は窓の外に向かって、小さく舌打ちする。