恋のはじめ




「何だ」





ゆっくりと振り向き、咲希を見下ろす。





見下ろされるのは気分が良くないが、仕方が無いこと。





変わりに全力で睨みつけた。






「な、何故言わないっ」






警戒心丸出しの咲希の構えに、斎藤は一つため息をついた。






そして、






「お前が女だってことをか?」








周りに人が大勢いるにも関わらず、何食わぬ顔でそう言った。






瞬間、そんな斎藤と被るようにわざと大きな声を出す。








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