ワケがありまして、幕末にございます。
「ケホ、すいませんね〜」
「無理はしないで下さいよ?」
「やだなぁ、大袈裟ですよ〜。
私は大丈夫ですっ」
本当は大丈夫じゃないんだけど…それでもわかりました、とこっちも笑顔で答えた。
「行こう、トシ」
アタシ達の会話が終わるの待っていたのかのように、野太い声で近藤さんが言った。
「左之助達がウズウズしている事だし…というか、これ以上他の奴等も待てねぇだろう?」
ニッ、お父さんみたいな笑顔で。
「…あぁ、そう言うだろうと思ったぜ」
土方は不適に口角を上げて。
「っしゃー!!
行くぞー!!」
土方のその言葉を待っていたのか、静かだった周りが途端にうるさくなった。
「市村、お前はどうする?」
池田屋に浪士がいる。
けど知ってるから其処に行きたい、なんて事は言えなくて。
「俺、沖田さんに着いて行く」
沖田さんは池田屋側だったハズ。
それに、土方は沖田さんの持病の事を知ってるから。
「分かった。
…頼む」
「ん」
―――バサ、朱に映える白い誠の字が、暗い空に掲げられた。