ワケがありまして、幕末にございます。




「ケホ、すいませんね〜」


「無理はしないで下さいよ?」


「やだなぁ、大袈裟ですよ〜。
私は大丈夫ですっ」




本当は大丈夫じゃないんだけど…それでもわかりました、とこっちも笑顔で答えた。




「行こう、トシ」




アタシ達の会話が終わるの待っていたのかのように、野太い声で近藤さんが言った。




「左之助達がウズウズしている事だし…というか、これ以上他の奴等も待てねぇだろう?」




ニッ、お父さんみたいな笑顔で。




「…あぁ、そう言うだろうと思ったぜ」




土方は不適に口角を上げて。




「っしゃー!!
行くぞー!!」




土方のその言葉を待っていたのか、静かだった周りが途端にうるさくなった。




「市村、お前はどうする?」




池田屋に浪士がいる。


けど知ってるから其処に行きたい、なんて事は言えなくて。




「俺、沖田さんに着いて行く」




沖田さんは池田屋側だったハズ。


それに、土方は沖田さんの持病の事を知ってるから。




「分かった。
…頼む」


「ん」













―――バサ、朱に映える白い誠の字が、暗い空に掲げられた。











< 151 / 325 >

この作品をシェア

pagetop