ワケがありまして、幕末にございます。
「土方…」
これからの行き先を告げる自分の音は思った以上に掠れていて。
我ながらびっくりした。
「まったく、どういうこと?」
「…!」
あの人の声と、複数の足音。
「私は何も知らないのよ!?
こんな事になるなんて、計画がズレちゃうじゃない!」
…やっぱり、ね。
歴史の通り、あの人はダメだ。
平助には悪いけど、あの人は危険因子。
新撰組を壊していく。
あの人だってあの人の考える道があるってわかってる、けど。
あの人だけはダメ。
伊東甲子太郎が読めない。
なにが目的で蝕んでいったのか。
去った音を確認して若干付いた汚れを落としつつ立つ。
…2回目ともなると慣れたもんだな。
「…聞いてた?」
「…気付いてたんかいな」
「床下にいたからね」
「………」