ワケがありまして、幕末にございます。
「あいよ、茶」
「おぅ」
手元の紙から目を離さずに湯呑みを受け取り口をつける。
溢せばいいのに。
「…ん、お前茶ぁ煎れんの上手ぇな」
「俺天才だから」
「そーかそーか、じゃその天才ぶりをきちんと仕事で発揮しろよ」
「やなこった」
「あ?
ふざけ…っててめぇ俺の食いやがったな!」
「誰も土方のなんて言ってないし!」
「じゃあ俺の茶請けはどうしたぁ!」
「ハンッ。
土方の分なんて元からないね!
つかお前甘いの苦手なんじゃないのかよ!」
「それでも茶には何かしらあるのが普通だろぉが!」
「てめぇの普通は俺には通用しない!」
「このヤロッ…!」
カサ、風にのって机から紙が落ちてくる。
「…ん?」
「あ、バカ勝手に見んな!」
伸びてくる腕を回避して目を通す。
「なになに、“逢えることを楽しみに… りん”」
……。
仕事かと思いきやコレかい!