わたしとあなたのありのまま ‥2‥


「断る!
 綾子一人で行ってよ」

「なんでよ?
 あんな男の巣窟に私一人で行けって?
 酷いよほのか。鬼、悪魔!」

「田所に会いたくないんだよ。
 綾子、わかってるくせに……」

 言われのない苦情にムッとして言い返せば、

「田所は居ないって。
 アイツはオシッコ近いからトイレだって」

 と、根拠も何もない無理矢理な『安心安全宣言』。


「なっ……」

 それ以上声が出なかった。



 綾子と照哉くんは二人で共謀して、何かにつけて私と田所が接する機会を作ろうとしている。
 それは余りにも露骨過ぎて。
 かなり感覚が鈍い方である私でも気付いてしまうぐらい。

 きっと田所も気付いているに違いない。
 そう思うと、一層憂鬱な気持ちになる。


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