甘く、甘い、二人の時間


「…康介?ふざけないで、離して。」



もっと強く言いたいのに、拒まなくちゃ駄目なのに、今の私には康介の腕が温かくて……。



「彼氏の事で、悩んでる?」


「!!…何で?」



どうして知ってるの?

康介の腕を振りほどこうともがくのに、更に力が込められて抜け出せない。



「昨日店で菫達が話してたの、少し聞こえてた。」

「……」


「菫だって分かったから、わざと注文届けに行ったんだ。」


「康介、私は…」



これ以上話を聞いたら駄目だって、心臓が早鐘を打つ。


ふらふらと優しさに流されそうになるから。

私が欲しいのは、康介じゃなくて拓海の温もり――



「俺は菫の事、忘れられない。」

「私には彼氏が」

「彼氏がいるのは知ってる!でも上手くいってないんだろ?…菫が幸せなら、それこそ昨日のろけ話でもしていたなら、俺は声はかけなかった!今だって、泣いてたから――」



「……」





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