甘く、甘い、二人の時間
「何だよ、それ。」
「…え?」
「重荷になりたくないからとか、言いたいけど言えないとか、全然菫らしくない。オカシイだろ?そんなの…」
「オカシイ?私の考え間違ってるの?」
だって、拓海に迷惑かけたくないから。
「会いたいけど言えないって、遠距離恋愛なわけ?」
「…違う。会社だってすぐ目の前のビルだし。家もそこまで離れてるわけじゃないし」
「じゃあ会いに行けよ!俺と付き合ってる時は俺のアパートに入り浸りだったのに、何で今の彼氏には気を使ってるんだ?」
「何でって……学生の時とは違うから!
拓海はどんどん新しいプロジェクトを任されて、その度に成果を上げて、出世して、仕事が楽しいっていつも言ってる人なの。でもその影ですごい努力してて、毎日終電ギリギリまで働いてるの。頑張ってるの!――よく分かってるから、だから…」
また、涙が溢れる。
泣き顔を見られないように俯いて、手で涙を拭う。
康介に感情的になっても仕方ないのに。
分かっているのに、涙が止まらない。