甘く、甘い、二人の時間

一人残された俺はといえば…



「…あの、先程注文されましたマフィンが焼き上がりましたが…」



ものすごくばつが悪そうな作り笑顔の店員に呼び止められ、





「……すみません。」


なんて小声で謝りながら、

紙袋に入れて貰ったマフィンの会計を済ませた。



……何してんだ、俺。



それから慌てて店を出るも、当然だが菫の姿はない。



ポケットからスマホを取り出し電話をかける。



……1コール



……5コール



……10コール


鳴らしても鳴らしても菫は出てくれない。




「…頼むよ――」


想定外の状況に不安ばかりが募っていく。

そして解決策も見つからないまま、頭を抱えていた。


< 172 / 209 >

この作品をシェア

pagetop