甘く、甘い、二人の時間
一人残された俺はといえば…
「…あの、先程注文されましたマフィンが焼き上がりましたが…」
ものすごくばつが悪そうな作り笑顔の店員に呼び止められ、
「……すみません。」
なんて小声で謝りながら、
紙袋に入れて貰ったマフィンの会計を済ませた。
……何してんだ、俺。
それから慌てて店を出るも、当然だが菫の姿はない。
ポケットからスマホを取り出し電話をかける。
……1コール
……5コール
……10コール
鳴らしても鳴らしても菫は出てくれない。
「…頼むよ――」
想定外の状況に不安ばかりが募っていく。
そして解決策も見つからないまま、頭を抱えていた。