夏の空~彼の背中を追い掛けて~
「俊ちゃん、もう1度……キャッ!」
突然体がフワリと浮き上がり、咄嗟に近くのモノに抱き付くと、暖かい感触と大好きな香りに包まれる。
えっ!?
顔を上げて初めて気付いた。
私が咄嗟に抱き付いたのは俊ちゃんの首で、お姫様抱っこをされている事に。
「えっと……あの…」
理由を聞こうにも私を見下ろす俊ちゃんの顔が、思い詰めた表情に見えて、それ以上の言葉が続かない。
どうして、こんな表情になっちゃったの?
私に何かしてあげられる事はない?
どうしたら、笑ってくれる?
何も思い付かず、私は俊ちゃんを抱き締める様に絡み付いた。
「…真弥」
甘く囁く様な呼び掛けに顔を上げると、唇が重なる。
まだ表情は冴えないものの、キスの合間に見える俊ちゃんの顔は、穏やかにも見えた。