夏の空~彼の背中を追い掛けて~


「ここに来てくれて有り難う。それからコートも有り難う」



「礼なんて良いのに…。それより話って何?」



「…あのね……私、妊娠してた…。漣、心配してくれてたから、報告だけはしとくべきだと思って…」



「…そっか…。子供の父親はアイツ?」



「うん…」



それっきり漣は黙り込んだ。



そりゃぁそうだよね。



赤ちゃんのパパは自分じゃないし、それ以上の事は何も言えないもんね。



取り敢えず、直接報告をしたかっただけだし、教室へ戻ろう。



「私、先に行くから漣は数分後にお願いね」



時間差で教室へ戻れば、2人で会っていたと、誰も気付かない。



私は立ち上がり、羽織っていたコートを漣の肩に掛けた。



すると、ずっと黙っていた漣が私の手を掴み、こう尋ねた。



「もう道は1つしかないんだよな?アイツは何て言ってんの?」



「俊ちゃんは…まだ何も知らない。話してないの…」



「何でそんな大事な話をアイツにしないの!?妊娠したって事は、こうなると分かってて中出ししたって事だろ!?」



「……」



私には何も答えられなかった。





< 198 / 354 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop