夏の空~彼の背中を追い掛けて~
「俊ちゃん…歩くのちょっと待って!お腹…痛い…」
「大丈夫か!?」
「うん…」
妊娠してる事を知らないのに、座り込んだ私の背中を、俊ちゃんは労るように優しく撫でてくれる。
こうして心配してくれるのも、今日で終わりかも…。
そう思うと、苦しい位に胸が締め付けられた。
「う゛っ……」
心と体のバランスが崩れたか、それとも恐怖感から一気に解放されたからか、何の予告も無く嘔吐感が襲って来る。
「真弥、どうする?俺んちに行くの止めて、このままノンちゃんちに帰る?」
心配そうに背中を擦りながら、俊ちゃんが私の顔を覗き込む。
もしここで紀香の家に帰ったら、何も伝えられず、次はいつ会えるのかも分からない。
チャンスは今日だけ。
どうしても話をしなければいけない。
「俊ちゃんの家に行きたい…」
「分かった。良し!じゃぁ取り敢えず立とうか?」
「うん…」
まだお腹に不安はあったけど、のんびりしている時間はない。
私はゆっくり立ち上がり、照らされた懐中電灯の灯りを頼りに歩いた。