夏の空~彼の背中を追い掛けて~
「俺、バイト終わりのメッセージを真弥に送ったんだよ」
あっ…私のベルは紀香に預けたままだ…。
だってベルの主は俊ちゃんだと思ってたし、いざと言う時に紀香と連絡を取り合えた方が良いと思って、私は所持せず家を出た。
「バイト先から帰る途中、意味不明なメッセージが届いて、最後の【ノリカ】って文字だけは読めたから、家に着いて直ぐノンちゃんに電話したんだ。そしたら···」
『俊ちゃんの名前で、倉庫へ来てってメッセージが届いたから、真弥は1人で行ったんだけど、暫くしてバイト終わりのメッセージも届くし…。どうなってるのかな?と思って俊ちゃんにベルしたんだけど…』
「それ聞いて、マジで焦ったよ。呼び出したのは孝道だって予想はしてたから、急いで倉庫へ向かったんだ」
そうだったんだ…。
じゃぁもし紀香にベルを預けてなかったら、あの部屋へ辿り着く前に俊ちゃんからのメッセージを受けて、怖い思いをしなくて済んだかも知れないって事?
それとも、あれは避けられなかった私の運命?
今更何を思っても、あの時間は消せない。
早く忘れたい…。
頭に残る記憶から、消し去りたい…。
「真弥…間に合わなくて、ごめんな……」
「ううん、良いよ…」
『間に合わなくて』の言葉に、抵抗出来ず男のモノが入って来た感触と光景が浮かび上がる。
それが孝道君だと分かった今でも、怖さと気持ち悪さは消えない。
気が付くと、私は俊ちゃんの腕を掴み震えていた。