夏の空~彼の背中を追い掛けて~
子供は諦めて欲しい。
もう俺には関わるな。
俊ちゃんの背中がそう言っているように見えた。
私はベッドから下り、散乱した下着や服を身に纏った。
「俊ちゃんに出会ったあの日、私は一瞬で恋に落ちた。今でも俊ちゃんが大好き…。最後にH出来て良かった…。もう、ここへは来ないから…。バイバイ」
凍えるような寒さの中、私は靴を履いて納屋を飛び出た。
ここからどっちへ行けば、紀香の家に着くのか分からない。
でも、歩みを進めなければ帰る事は出来ない。
私は全く当てにならない勘を頼りに、急ぎ足で坂を下った。
数分歩くと、別れ道に遭遇する。
右かな?それとも左かな?
土地勘もないし、通った事がある道なのかどうかさえ分からない。
どちらへ曲がるか迷った挙げ句、私は下り坂になっている右道を選んだ。
それから別れ道の度に下り坂を選んでいたら、いつの間にか山に囲まれた辺鄙な道へ迷い込んでいた。
何処かで道を間違えたみたい…。
引き返した方が良い。
そう思いながらも、帰り道すら分からない私は、そのまま真っ直ぐ歩みを進めた。