夏の空~彼の背中を追い掛けて~
結局この日も、ただ走るだけで終わってしまった。
「有り難うございました。明日も宜しくお願いします」
教官にお礼を述べると、私は紀香が待つ休憩室へ向かった。
「あっ…!お…お帰り」
明らかに様子が可笑しい紀香に出迎えられながら、私は窓際の空いてる席に腰を下ろした。
「今日は何処まで行ったの?少しはコース覚えられた?」
紀香は私に話し掛けながら、隣の空いている席ではなく、何故か前方を隠すように目の前に立つ。
んっ?私には見られたくない何かが、前方にあるって事?
まさか!?陽人が居るの!?
体勢を変える振りをしてチラリと前に目を移すと、○○工業生と私服の女子が並んで座っている。
ほんの一瞬しか見れなかったけど、陽人では無いみたい。
あ゙っ!!そう言えば、紀香に陽人の顔を教えるの忘れた…。
顔を知らないから、○○工業生を警戒してくれてるのかも知れない。
私は前方を見なかった事にして、紀香の質問に答えた。
「今日はBコースを走ったんだけど、○○スーパーへ行く手前の曲がり角が分からないんだよ…」
手元に有る地図を広げて説明していると、近くに座っていた広川さんが、私達の会話に加わってくる。