夏の空~彼の背中を追い掛けて~
「直方さん、この道を進んでたら右手側に△△△って書いた看板があるから、それを目印にしたらどお?後ここも×××があるから、覚えやすいと思うよ」
どうやら自動車学校で走ってる路上コースは、広川さんの地元らしく、各コースの目印になる建物や看板を色々と教えてくれる。
果たしてこれでコースを覚えられるか自信はないけど、何も分からないまま走るよりは遥に良い。
私は忘れないうちに、教えて貰った目印を地図に書き込んでいった。
「広川さん有り難う。明日もBコースを走るって教官が言ってたから、教えて貰った建物を目印にしてみるね」
「うん。頑張ってね!」
「はい…頑張ります!」
私の返事を聞き終えると、広川さんは椅子を数個スライドして、クラスメイトの輪へと戻って行った。
すると、それを見計らったように、1人の○○工業生が声を掛けて来る。
「あの…直方さん?アレッ?どっち?」
自信無さげに、彼は私と紀香を交互に見る。
『貴方は誰?何で私の名前を知ってるの?』
そんな言葉を投げ掛けたいけれど、知らない人に関わる気は全くない。
私は何も答えず、知らない振りをした。
困った彼は外をチラチラ見ながら、頷いたり首を振ったりしながら誰かに何かを伝える。
この人、一体何がしたいの?
誰に何を伝えてるの?