夏の空~彼の背中を追い掛けて~
「……」
何も答えられない紀香に、今にも噛み付きそうな勢いで詰め寄る私を、母が諌める。
「真弥!!落ち着きなさい!」
「…。紀香、直ぐに仕度するから待ってて!」
ハッと我に返った私は自室へ行き、寒くない服装に着替え、バッグを手に玄関へ向かった。
「真弥…何でそんなに着込んでるの?ダルマみたい」
普段よりも厚着をした私を、上から下へ下から上へ見て、母は不思議そうな顔をする。
「バイクの後ろに乗せて貰うし……それに…」
俊ちゃんの子供を妊娠してるから。
そう言おうとして、言葉を飲み込んだ。
今、ここで話してしまえば、確実に母に引き留められる。
少しでも早く病院へ行くには、まだ言っちゃいけない。
私は靴を履き、紀香と飛び出すように外へ出た。
「ノンちゃん真弥ちゃん、何やってんの?遅いよ」
バイクに跨がったまま、ずっと待機してくれていたのは、孝道君と……誰だろう?
ヘルメットを被っているから、分からない。
首を傾げる私を見て、紀香が手短に話してくれた。