夏の空~彼の背中を追い掛けて~
「ごめん!だけど、少しでも早く真弥ちゃんを俊ちゃんに会わせたくて…」
あっ、だからスピードを上げたんだ!!
だったら、孝道君は何も悪くない。
私の事を思ってした事なんだもん。
怒られちゃ可哀想。
「紀香、孝道君を責めないで?」
「……分かった…。それより急ごう!!」
「「うん」」
私達は紀香の言葉を切っ掛けに、駐輪場から院内へ向かって歩き出した。
早く!早く俊ちゃんの所へ行かなくちゃ!!
気持ちが焦り、皆の歩みが少しずつ速度を上げる。
だけど、私は走る事が出来ない。
徐々に遠ざかる皆の背中を追い掛けて院内に入ると、玄関横の救急処置室前で歩みが止まっていた。
「おばさん!俊ちゃんの容態は!?」
「怪我は酷いの!?」
孝道君と紀香が、長椅子に座る女性に声を掛ける。
「皆、来てくれて有り難う…」
力の無い声で1人1人の顔を見渡し、俊ちゃんのお母さんと思われる女性は、私の所で視線を止めた。