夏の空~彼の背中を追い掛けて~
「…俊…ちゃん?」
信じられない私は、俊ちゃんの頬を両手で包み口付けをした。
だけど固く閉じられた唇は、私のキスには答えてくれない。
嘘だよね?
ただ眠ってるだけでしょ!?
「俊ちゃん!?起きてよ!俊ちゃん!!俊ちゃん!!」
私は目の前の現実を受け入れられず、軽く頬を叩きながら、更に呼び掛けた。
「あと数ヵ月後には、俊ちゃんパパになるんだよ?赤ちゃんの事、俺が守るって約束したじゃない!!」
どうして起きてくれないの?
私1人で、どうやって守れば良いの?
「俊ちゃん…戻って来て…。私の傍に居て…」
ドラマや漫画の世界でなら必死に呼び掛けると、奇跡的に目を覚ましてくれる。
『お前の声に呼び戻された』
『1人になんてしないよ。ずっと傍に居るって約束しただろ?』
だけど、そんなシーンは永遠に訪れない。
ピクリともしない俊ちゃんを見て、これが現実なんだと思い知らされる。
それでも往生際が悪い私は、無理だと分かっていても、その名を呼ばずにはいられない。