夏の空~彼の背中を追い掛けて~
「……俊ちゃん…。俊ちゃ……」
止まる事の無い涙を何度も拭う中、ある物がボンヤリと視界に入る。
あっ、そっか……。
「俊ちゃん…私も一緒に逝く。…連れて逝って?」
私は駆け寄るように、診察台の横に置かれたハサミを手に取り、大きく振り上げた。
「キャーッ!」と言う悲鳴に似た声。
「早まっちゃダメ!!」と、私を止める声。
そんなの、今の私には何も響いて来ない。
あと数センチで胸に突き刺さる!と言う時、誰かがフワリと私を抱き締め、何かに弾かれるようにハサミが落ちた。
「真弥……」
耳元で、私の名前を囁く優しい声。
紛れもなくそれは俊ちゃん。
ど……して?
俊ちゃんはもう死んだんじゃないの…?
振り返ろうとするとスッと抱擁が解かれ、目の前に俊ちゃんの姿が現れる。
だけど、窓から差し込む夕陽で、その顔がハッキリしない。
「…俊ちゃん?」
私は右へ左へと頭の角度を変えてみたけど、逆光が邪魔をして、顔の確認が出来ない。