夏の空~彼の背中を追い掛けて~


幻覚?



それとも最後のお別れ?



「きっと俊介の魂が、真弥さんと赤ちゃんを守ったのかも知れないわね。『俺はここに居る。ずっと傍で守っているから』って伝えたかったんじゃないかしら…」



不思議とお義理さんの言葉が、スーッと胸に落ちる。



もう俊ちゃんの顔を見る事も、話をする事も出来ない。



だけど、心の中で俊ちゃんは生き続け、ずっと私の傍に居てくれる。



悲しみは消えないけど、そう思う事で漸く俊ちゃんの死を受け入れる事が出来た気がした。



「真弥さん、俊介は…旅立ってしまったけど……赤ちゃんを産んで貰えないかしら……」



お義理さんはグッと涙を堪えるように俯いた。



そうだよね…。



約18年間育ててきた大切な息子が、突然亡くなったんだもん。



私の悲しみより遥かに大きい。



それを、私と赤ちゃんで支えてあげたい。



迷惑でなければ、篠栗家の皆を笑顔にしてあげたい。



「お義理さん、赤ちゃんが産まれたら1番に抱いて下さい」



「真弥さん……有り難う…」



ボロボロと大粒の涙が、お義理さんの頬を伝う。



だけどハンカチでそれを拭うと、母へ向かって頭を下げた。





< 315 / 354 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop