夏の空~彼の背中を追い掛けて~
「お母様、真弥さんに赤ちゃんを産ませてあげて下さい!出来る限り、篠栗家でもサポートします!!ですから、どうかお願いします」
俊ちゃんが残してくれた赤ちゃんを守ろうと、気力だけで立っているようなお義母さんの姿に、胸がギューッと締め付けられる。
何の力も無いけど、私も母へ向かって頭を下げた。
「お母さん、お願いします…。赤ちゃんを産ませて下さい…。俊ちゃんの赤ちゃんを産みたいの……」
「ハァーッ……」
母の深い溜め息だけが、処置室内に響く。
やっぱり、出産する事に反対なんだろう。
誰の意見も聞き入れる気はないんだろう。
初めから反対される事は分かっていた。
それでも私は、絶対に母を説得してみせる。
俊ちゃんを喪ったからこそ、どうしても赤ちゃんを産みたい!
私はもう1度、母に頭を下げた。
「お母さん!お願いします…。赤ちゃんを産ませて下さい…」
「……。分かった…」
えっ……?
気持ちが伝わったのか、根負けしたのか、母は確かに『分かった』と言った。
だけどそれは、納得してのモノではなかったようだ。