もらう愛＝捧げる愛

アパートの２階、部屋の前にはタバコの吸い殻を苛立った様子で踏みつける多田さんが立っていた。


「多田さん、ごめんなさい、待たせちゃって」


「初音」


───パシンッ!


いきなりぶたれた頬に痛みと痺れを感じる。


「今すぐ部屋開けろ」


「………」


あたしは自分の家に男の人は入れない。


素通りする男の人の影を部屋に残すなんて、あたしは嫌。


「多田さんの家…行きませんか…?」


「今すぐ開けろッ!」


「…わかりました」


鍵を使ってドアを開けると、あたしより先に多田さんが部屋に上がった。


ドアを閉めると、多田さんは苛立った顔を歪め、


───!?


あたしの髪をわしづかんでベッドまで引きずる。


「ﾔ…!ｲﾀｲ…!」


───バンッ!!


そのままベッドの上へあたしを突き飛ばし、冷ややかな目を向ける。