もらう愛=捧げる愛
何をするわけでもなく、ただパソコンをボーッと見ているとケータイから鈍いバイブ音。


…多田さんからだ。


“終勤後、駐車場で待ち合わせ”


“Re わかりました”


それだけ返して、あたしは覚悟を決めた。


何をされても。


今日で終わりにしよう、そう心に決めて。


仕事中、何度もミスを指摘された。


隠せない左手の甲の痣と、動揺。


それでもあたしは、ここにいる方がずっと楽だった。


多田さんと2人になればまた殴られて、あたしの体は奴隷のように使われる。


怖くて、怖くて。


だから帰りたくなくて、わざと残業分の仕事を残した。
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