もらう愛=捧げる愛
「さ、初音、降りろよ」


「………」


促されるまま車から降り、多田さんのマンションへ重い足を踏み入れる。


「今日のところはピザとビールでいいか?」


「あの…!」



「何?」


「多田さん、ごめんなさいっ!」


部屋のフローリングに土下座した。


「何?初音?」


「ごめんなさい、お願いです!別れてくださいっ!」


ククッと小さく笑う声に、背筋が凍る。


「───キャッ…!」


髪を強く引っ張り上げられ、あたしは立たされた。


「初音?いい子に、って言っただろッ!!」


───ドンッ!!


ソファーの上に投げつけられ、あたしの上に多田さんが乗る。
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