もらう愛=捧げる愛
♪~♪~♪


悲鳴の中に鳴ったあたしのケータイ。


多田さんはあたしの上から降りると、ケータイを見て更に顔を歪めた。


「メールだぜ?星野課長から。“初音、今すぐ会いたい”だって。どういう事?」


「………」


「仕事の話なら“仁科”で呼ぶよなぁ?“初音”って、何?」


あたしが他の男の人とも寝てるってわかれば多田さんも離れてくれるかもしれない。


汚い女、って捨ててくれるかもしれない。


そう思ってあたしは剥がれた服を直し、息を整えて多田さんを見た。


「あたしと関係のある人です」


「カンケー?それってセックスの?」


「はい。今まで何人もの男の人と関係を持ってきました」


「ククッ…。初音ってそーゆー女だったんだ?」


「汚いでしょ?だから別れてください」


「ふーん…。ならオレとのセックスを惜しむ事もないわけだ」


「イヤです」


「初音って意外と頑固なんだな?震えちゃってさ、それでも強がる初音はホントかわいいよなぁ?」


「別れて…別れてください」


多田さんはあたしを嘲笑ってキッチンへ行った。


戻ってきて手にしていた物は───包丁。
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