もらう愛=捧げる愛
「オレの印、つけてやるよ」


「───!!」


逃げようとするあたしの髪を強く引く。


あまりの強さに姿勢を崩して倒れ込むあたしの上に多田さんが乗った。


「さぁて、どこにしようか?どうせなら誰にでもわかる傷がいいよなぁ?オレの、って印」


「ヤメテッ!!」


「動くなよ。かわいい顔に傷はつけたくない。ククッ…ここ、どうだ?」


───スッ


首に冷たい感触。


液体が溢れる生温かさを感じて、あたしは手で首を覆った。


それでも多田さんは飽きたらず、あたしの左手を取る。


「ここも、な?」


───スッ


左手の甲の痣の上に5㎝程の傷を切りつけ、多田さんは包丁を置き、あたしのケータイをいじりだした。


繋がった先は。
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