愛する人。




 ……どうやら女性は躓いたらしい。


 真っ赤な顔で俯いていると、裕太にぃがふわりと笑い、さっき俺にしてくれたように頭を撫で一言二言話していた、その時―――



 思い出した。



 桜の、二人だ――…。




 俯いていた女性が恥ずかしそうにおずおずと顔を上げると、裕太にぃに微笑んだ。


 その姿に、俺は今年の春の出来事を思い出していた。




 そう。


 病院に向かう道すがら会ったのは、あの人だ。


 あの、2人だったんだ。



 相手は裕太にぃだったんだ。




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