愛する人。
なんとなく、さっきの女性の事が聞けない。
普通に『彼女?』と聞けばいいのに。
その言葉がのどの奥につかえていたのすら、俺は気付かないフリをした。
「蓮くんはさ、将来の事とか考えてるの?」
宿題を終えてお互い好きなジュースを飲みながらロビーから続く談話室のソファーに座っていた。
将来の、夢か…。
「……俺の両親と兄さんは医者だけど、俺は医者じゃなくて違う仕事をしたいんだ」
まだ誰にも話した事のない話を、なぜ裕太にぃには素直に話せたのか。
裕太にぃは大人特有の押し付けがましい説教をせず、ただ、俺自身の言葉を聞いた上で、最後にいつものようにふわりと笑い、頑張れよと言ってくれた。
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