愛する人。




「ただ……」



 そう言って、目を伏せ苦しそうな表情の裕太にぃに、俺は涙がひいていくのを感じた。



「家族と、……彼女が僕のいない事に耐えられるかが、不安なんだ」


 もちろん、君もね…と、俺の頭をポンポンと叩いた。




「僕の死が……優しく彼女に伝わればいいのに…」


 静かに言った裕太にぃは、また、俺の知らない『男』の顔をする。






 ―――なんて強いんだろう。



 そして……

 悲しい位に、優しい……。





< 278 / 440 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop