亡國の孤城 『心の色』(外伝)
………誰もが恐れおののく、この男。
近寄り難い空気と有無を言わせない空気の両方を纏わせて、そこに存在する。
………総隊長のクライブの言葉を前にして、バレンは………。
「クライブ、お前はどっちだ?三秒で答えな」
不躾にも、同レベルの態度で同じ事を尋ねた。
………この軍議に同席するベルトークとゴーガンは、黙って羊皮紙を見下ろしながら……この形容しがたい状況の成り行きを見守っていた。
「………バレン、黙れ。………………今は軍議中だ……」
「その通りですよ、バレン。……大体、私達は何も食べなくとも大丈夫でしょうが。………このアレスの使者の中で、勝手に料理をして、勝手に食べているのは貴方だけですよ…」
クライブは相変わらずの無表情。グラッゾに至っては、笑顔から困った笑顔に変わっている。
「………冷たい。冷たいぞ総隊長……」
はぁ…と溜め息を吐きながら肩を竦めて見せ、クライブを指差してゴーガンに顔を向けた。
「なぁガンガン、なんであんな野郎に弟子入りしたんだ?」
「ガンガンって俺ですか…!?」
軽い衝撃を受けたゴーガン。
バレンは続いてベルトークにも視線を送る。
「……なぁ…ベルトー君」
「ベルトークです」
微かに目元が引きつったベルトークはすかさず否定したが、バレンは聞く気も無い。