亡國の孤城 『心の色』(外伝)
「………なあ…グラッゾ…」

グンッとバレンは姿勢を前に倒し、膝に頬杖を突いて………隣りに座るグラッゾをじっと、真剣な面持ちで見詰めた。














「………………………………………………………………ケーキはチョコ派か?生クリーム派か?」

「リンクス、貴方の第1部隊は如何ですか?」

グラッゾは笑顔で流した。
急に話を振られたベルトークは、その冷たい無表情をグラッゾに向け、バレンをちらりと見やり……手元の羊皮紙を捲り始める。



「………おいグラッゾ……無視か?………お前のサディスティックな苛めは結構応えるが、これはこれで地味に、ソフトに傷つくぜ?…………空き時間で作ろうと思ってるケーキを……本気で悩んでるんだぞ!おい!」

「で、リンクス、如何なんですか?」

「チョコか生クリームかも言えねえのかよ!!」



バシーン、と床に羊皮紙を叩き付け、笑顔で無視を決め込む同僚の真横でバレンは喚いた。


その騒々しい軍議に、鶴の一声ならぬ……存在感をヒシヒシと感じる低い声が割り込んだ。















「―――……バレン………………黙れ」


















隊長クラスの人間が腰掛ける椅子の、その奥側の黒い椅子。


声の主は、静かに…厳かな響きで呟いた。





……薄暗い中でもよく見える、艶のある白髪と………曇硝子の様な虚ろな瞳。


そこに座る事が許される、ただ一人の人間……アレスの使者の頂点である、総隊長。







………足を組み、背も垂れに軽く寄り掛かった姿勢で、クライブは手元の羊皮紙を眺めていた。

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