亡國の孤城 『心の色』(外伝)
「よーしジスカ、そこを動くな。……俺のドロップキックを有り難く受け止めろよ…」
「何でですか!?………覚えてろよトウェイン!!」
トウェインの「何をだ?」という言葉に反論する暇も無く、ほうほうの体でジスカは再び逃走を始めた。
遠ざかる足音をぼんやりと耳にしながら、バレンは彼女に向き直った。
こちらを無表情で見上げる少女と視線を重ね、バレンは笑みを浮かべて彼女の頭を撫でた。
「…何ですか………?」
「ん―?………いんや………大きくなったな―と思っただけだよ…」
「背は4センチ伸びました。………申し訳御座いませんが、今探し物をしているので…失礼致します」
トウェインは深く頭を下げ、辺りを見回しながら立ち去って行った。
その華奢な背中を見送りながら、バレンは煙管を咥える。
「……4センチ、か……」
でかくなったもんだ。
………初めて見た時は、あんなに小さかったのに………。
………あんなに……弱々しかったのに。
………あんなに…。
「………すくすくと育ってるな………………………………お姫様は……」