亡國の孤城 『心の色』(外伝)
マリアは微笑を浮かべて小首を傾げた。
煙草の煙をゆっくりと吐き出し、バレンは足元をじっと見下ろした。
………動かない自分の影が、そこにはある。
寂しげな影が、分身が、そこにはある。
「―――………………………チョコと生クリーム、どっちが良いと思う?」
「…………うーんと………」
マリアは数回瞬きを繰り返し………手の平を合わせ、パッと明るい笑顔を浮かべた。
「苺のクリームにしましょう!」
………二つの選択肢を完全無視した、論外な答え。
突拍子も無いマリアの答えは、バレンの求めた答えとは全く違うものだったが…。
「…………………採用―だ、マリアっち!………だよな………選択肢は……チョコと生クリームだけじゃねぇもんな…」
「そうですよ―。味は自由なんですから」
マリアの笑みにつられて、バレンも思わず微笑を浮かばせた。
「……………そう…。………自由だもんな…」