亡國の孤城 『心の色』(外伝)
「…………本日付で、ジスカ=バルバトスは隊長クラスに昇格させる。…………トウェインはもう少し後だ………」
「………………………………クライブ…」
ああ、苛々する。
どうしてあんたは…………そんな…。
「………そこの二人…」
睨み合ったまま微動だにしない、ピリピリとしたこの空間で、グラッゾはベルトークとゴーガンに声を掛けた。
「………………少し、私達三人で…話がしたい。…………………………貴方方二人は、席を外して下さい…」
いつもの笑顔ではなく、妙に真剣な面持ちでグラッゾは言った。
………片方しかない目が、鈍い光を放った。
「………はっ」
「………」
ベルトークとゴーガンは敬礼をし、言われた通りに退室した。
暗い部屋には、三人の人間。
静寂漂うこの空間で、空気は彼らの心情に呼応するかの様に、複雑に、波打っていた。
「………バレン、とりあえず………その足を下ろしたらどうですか…」
「………」
溜め息混じりのグラッゾの声。
少しの間を置いて………バレンはクライブから顔を離し、足をゆっくりと下ろした。
「…………………何を喚くのだ…」
正面で佇んだまま、じっと睨んでくるバレンを、クライブは見上げて言った。
「……………何を…………だと…?」