亡國の孤城 『心の色』(外伝)
………曇り硝子の様な、生気の無い瞳は……艶のある純白の髪の隙間から、赤い髪の男をぼんやりと映していた。
鮮やかな、燃える様な炎の赤。
咆哮する獅子の如き、落ち着いた威厳を……その笑みの裏側に秘めている。
「―――…あんたは…何も……訊かないのか…?」
薄ら笑みを浮かべながら、バレンは言った。
……この現状を前に、何も思わないのか?
……何も疑問に感じないのか?
「―――…訊く、だと………?」
聞きたかった声が、小さな含み笑いと共に掠れた音色となって呟かれた。
低い、低い……獣の呻きよりも低い……その奥深い声。
耳にした者は皆、恐怖故か、何故か………身体の真を、揺がされる。
まともに考える力を、精神を、凍て付かせる。
「………………今更………何を訊けと言うのだ………」
「………さあね。……………ま、どうしてこんな馬鹿な真似をするんだ…とか訊かれても…………答えに…困るんだけどよ…」
剣の柄で頭を掻き、少し大袈裟に溜め息を吐いた。
フッと、クライブから視線を下ろし……真っ暗な底の闇同然の足元を見詰めた。
冷たい空気が、両足の間を駆け抜けていく。
「………………………俺にも、な…………………よく、分からねぇって訳。…………………………原因も、動機も、理由も…………………自分自身、何も………分かっちゃいねぇんだ………」
分からねぇ。
分からねぇよ。