使者の黙示録
そのときだった。

メグが修道院のマザーにつぶやく。


「のどが渇いたよう」


その声を聞いた団司が、メグの方に顔を向けて言った。


「シスターのために一生懸命走って、いっぱい泣いたからなあ」


団司の意識がマザー・アミコから離れたとたんに

彼女を苦しめていた強烈な圧力が、スーッと影をひそめてゆく。


死を覚悟するほどの苦しみから解放されたマザー・アミコは

まるで悪夢でも見ていたかのような錯覚をおこす。


しかし、それは決して夢ではないことは

全身がびっしょりになるほどの、彼女自身の汗が証明していた。

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