使者の黙示録
(まさか…)


そのまさかだった。


散々、走り回っても見つけられなかった団司の姿を確認したルゼは

団司がその場所にいることに憤りを覚えながら、彼のもとへと駆けよって行く。


ルゼの苦労を何も知らない団司が、己の頭上に起きている奇妙な光景に目を奪われていると

知らない間に、ルゼが自分のそばで両膝に手をつき、ぜえぜえと喘ぎながら呼吸を整えている。


「えーと…リゼ?」

「ルゼっ、ごほっ」


彼女は、「ルゼだっ!」と叫んだつもりだったが

まだ呼吸が整わない彼女は、しぼり出すような声しか出せずに咳き込んだ。

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