使者の黙示録
(間違いない、あれは…)


ルゼには分かる。


(私の一族に代々語り継がれてきた、冥界の門が開くメッセージだ)


この奇妙な異変は、団司はともかく一般の人には見えない現象であり

あくまでメッセージであるため、この現象自体が街に被害を及ぼすことはない。


しかし――


(やっと使者を見つけたのに)


ルゼが抱くわずかな望みは、その台風のような渦のなかに飲み込まれるごとく奪われる。


(もう、どうすることも出来ないというのか…)


決定的な絶望へ向けて

紫色の雲の渦は、変化を見せはじめる。

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