使者の黙示録
ルゼと団司の頭上で、ゆっくりと回転している紫色の雲が

渦の中心に向かって徐々に吸い込まれてゆく。

それゆえ、雲の渦は全体的に少しずつ小さくなるのだが

背後に見える赤黒い闇は、それとは逆に青い空を侵食するように広がってゆく。


その様子を唖然として眺める団司は、思う。


(雲のすべてが渦の中心に吸い込まれると、どうなるのだろう?)


ルゼは、先代から聞かされた話を思い出す。


(そのときこそ、冥界の門が開かれるのだ)


冥界の門が開かれたとき

はかり知れない多くの命が、否応なしに冥界へ引きずり込まれるだろう。

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