狼様の愛のカタチ理論【番外編】



そんな…


結局、不思議な発言に対して何も答えを聞けなかった―…


ザクロを食べろってなんなの?変化?

それに、扇李が許さない理由とか…私の食欲がない理由も…


なんだったんだろうか―…そんなことを考え


顎に手を置きながら、院長様が乗る馬車を見えなくなるまで見つめていると―…



「沙優、マリナ様は帰ったのか?」

「…?」


私の肩に手をおき、背後に感じる暖かさにチラリと視線を送るとそこには扇李の姿


「扇李…ぅん、今帰ったよ…って…あれ?なんでこんな所にいるの?」



扇李、今日は集会があるからマリナ様に会うことも出来ないし、宮殿の集会場からは出れないって言っていたのに


その本人がどうして?


「いや、たまたま通りかかったらお前の姿が見えたから…」

「あ、そうなんだ」


なんだ、そーゆうことか


「もう、少し早ければ会えたのにね」

「あぁ、それよりいつまでもここにいないで中に入れ。風邪をひいたらどうする」

「え?あ、うん…ごめん」


そう頷くと、扇李は私の傘を奪い肩に手を置いたまま宮殿へと促す



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