狼様の愛のカタチ理論【番外編】




「ありがとう」

「…あぁ」


最近、思うことがある。扇李ってこーやって所謂相合い傘をするのが好きみたい


前の雪の日も、私が傘を手にしていると必ずそれを奪いこーやって入ってくる


まぁ、私も扇李とくっつけるし好きだからいいんだけどね


扇李の腕に手を回し、寄り添うように近寄ると扇李が満足したように微笑む


「なんだ、珍しいな」

「そう?なんとなくしたかったから」


「そうか」

「うん…あ、そうだ!」

「…?」


そう言えば、院長様からの伝言を伝えなくちゃ


私もその意味をしりたいし

「あのね、院長様から扇李に伝言があるの」

「マリナ様からか?」

「うん、なんか…今夜はザクロを食べろって…」

「………」

「ザクロって、赤いフルーツでしょ?」


両手でザクロの形を表現して、扇李の顔をみると少し固まったような表情だ


「あれ、どーゆう意味なの?なんでザクロ?」


首を傾げながら聞くと、扇李は急いで私の手を引き


門番に傘をあずけ、宮殿内にはいると誰もいない部屋に押し込まれ


ガチャンと鍵を掛ける音が部屋中に響いた



< 105 / 121 >

この作品をシェア

pagetop