狼様の愛のカタチ理論【番外編】
「…え」
あまりにも素早い動きに瞬間移動をしたような感覚が私を襲い、目をパチパチさせていると
「…ちょっ」
立ち尽くす私に扇李は膝を床につきそのまま私をギュウと優しく抱き締める
「あ…あのっ」
な、なんなの?いきなり
慣れない抱き締めかたに顔を真っ赤にしながら彼の肩に手をおく
「扇李?」
「……」
「どうしたの?」
綺麗な赤い髪の毛を撫でながら聞くと、ゆっくりと身体を離して私を見上げて来る
「そうか…」
「?」
そうかって、なにが?
「沙優、落ち着いて聞け」
「は、はい」
「ザクロと言うのは、天界において神聖な食べ物なんだ」
「うん…」
「人間では風水などで使われることもある。だが、天界ではある事が分かると…それをお祝いの意味で近親者は口にする」
「…うん」
「そのお祝い、なんだか分かるか?」
「………」
お祝い…か…そんなことを言われてもピンっと来ない
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